長谷川町子は旅行が趣味で、漫画執筆の合間にあらゆる場所へ訪れています。1964年4月、観光を目的とした海外渡航が自由化されると、同年7月にはさっそく海外へ出かけています。それから晩年まで、町子は国内外問わずあらゆる場所を訪れました。そのうち、海外へ渡った回数は20回にも及びます。好奇心旺盛な町子にとって、各国で見る景色はどれも刺激的で、心躍るものであったことでしょう。そして、それらの経験は単なる趣味としては終わらず、自身の作品にも活かされました。
そんな、旅先での出来事を漫画として描いた作品が「サザエさん旅あるき」です。本作は、1987年3月~8月にかけて、24回にわたり朝日新聞にて連載されました。「サザエさん旅あるき」は、前回の連載漫画「サザエさんうちあけ話」から約9年ぶりに発表された作品で、連載開始前から多くの読者より、期待の声が寄せられました。そしてこれが、漫画家・長谷川町子にとって最後の連載漫画となりました。
連載終了後には、新聞に掲載された24話に、1話を加えた全25話を収録した、単行本『サザエさん旅あるき』が姉妹社より出版されました。さらにはテレビドラマ化され、主演は女優・竹下景子氏が務め、再び同作が話題を集めます。新聞連載開始から、長きにわたり愛される作品となりました。
本展では、「サザエさん旅あるき」の中でも海外旅行をテーマにした話に焦点をあて、直筆原画とともに、今回が初公開となる草稿、町子が使用していた旅行鞄や、旅先で手に入れたお土産品、写真といった貴重な品々を展示いたします。「サザエさん旅あるき」という作品を通じて、長谷川町子の見た景色をご覧いただき、それと同時に長谷川町子の人となりを深く知っていただきたく存じます。
<開催概要>
展覧会名: 企画展「サザエさん旅あるき 海外編」
開催場所: 長谷川町子記念館 2階 企画展示室 (東京都世田谷区桜新町1-30-6)
開催期間: 2023年8月5日(土)― 11月26日(日)
開館時間: 10時~17時30分(受付締切16時30分)
入館料: 一般 900(800)円、65歳以上800(700)円、大学生・高校生 500(400)円、中学生・小学生 400(300)円
※()内は20名様以上の団体、障がい者手帳をお持ちの方とその介護者
休館日: 月曜日(ただし、9/18(月)・10/9(月)は開館、9/19(火)・10/10(火)は休館 )
お問い合わせ: 一般財団法人 長谷川町子美術館 TEL03-3701-8766