

歌舞伎や時代劇が好きだった長谷川町子が初めてマゲモノの連載に挑戦した漫画作品、それが「新やじきた道中記」です。江戸時代に書かれた十返舎一九の「東海道中膝栗毛」をアレンジしたもので、やじさんときたさんの江戸から伊勢までのゆかいな旅が描かれています。原作を彷彿とさせるエピソードも盛り込みつつ、町子ならではの滑稽で楽しい旅が繰り広げられ、途中でサザエさん一家も登場します。この「新やじきた道中記」は1951(昭和26)年11月4日から1952(昭和27)年12月28日まで『週刊朝日』に連載され、のちに姉妹社から全2巻で単行本化されました(1952・1953年発行)。また、約20年後には改訂版も出版しています(1971・1972年発行)。
連載当時は今よりも「東海道中膝栗毛」という作品が周知され人気を博していた時代であり、長谷川町子がアレンジした本作品も誌面で高い人気を得ました。それは本作品を元にした映画「新やじきた道中」(1952年/配給・大映)が公開されたことからもわかります。映画はしゃべくり漫才の祖として人気を博した花菱アチャコ・横山エンタツのコンビを起用した話題作でした。
本展では、「新やじきた道中記」全58話のうち現存する57話分の原画を一挙公開いたします。中でも最終話を含む3話は単行本未収録のため、今となってはなかなか目にすることができないものです。また映画「新やじきた道中」や、かるたなどの関連資料もあわせてご紹介いたします。長谷川町子が描いたやじさんきたさんの珍道中の全貌をどうぞこの機会にご覧ください。
<開催概要>
展覧会名: 企画展「新やじきた道中記」
開催場所: 長谷川町子記念館 2階 企画展示室 (東京都世田谷区桜新町1-30-6)
開催期間: 2025年4月5日(土)―7月21日(月・祝)
開館時間: 10時~17時30分(受付締切16時30分)
入館料: 一般 900(800)円、65歳以上800(700)円、
大学生・高校生 500(400)円、中学生・小学生 400(300)円
※()内は20名様以上の団体、障がい者手帳をお持ちの方とその介護者
※美術館・記念館の両館をご覧いただけます。
休館日: 月曜日(ただし5/5(月)、7/21(月)は開館、5/7(水)は休館)
関連イベント: 暮らしの手仕事を取り戻す 「こより」ワークショップ
2025年6月7日(土) 午前の部10:00~/午後の部14:00~ 各回定員8名(要予約)
講師 下中菜穂氏(造形作家。もんきりと伝承切り紙研究家。昭和のくらし博物館副館長。)
対象者:小学3年生以上、 材料費:800円
※詳細が決まり次第ホームページでご案内いたします。
お問い合わせ: 一般財団法人 長谷川町子美術館 TEL03-3701-8766