ワークショップ「はたきを作ってみる」

2023年12月13日(水)
長谷川町子記念館 喫茶部

良いお天気に恵まれて、暖かい陽の差し込む喫茶部にて、はたきづくりのワークショップが開催されました。
昭和の衣食住が描かれているサザエさんにも、はたきは度々登場するアイテムの一つです。
年末のお掃除したくなる季節に、掃除道具を自分で作る企画です。
先生は、東京谷中で荒物屋を営む松野屋の松野きぬ子さんです。

ご参加くださった皆さんには、使い古した手ぬぐいをお持ちいただきました。
まずは、手ぬぐいの長辺を60cmに短く切って、それを短冊状にしていきます。
「少しだけ切り込みを入れてあとは手で裂くと簡単よ」ときぬ子先生のアドバイスがあり、ビリビリッと布を切り裂く音が響き、皆さんも心なしか爽快な表情をされていました。

短辺をまずは半分の細さに、それをまた半分に、それを繰り返して、合計12本の短冊ができました。

それを放射状に重ねて広げていき、中央の重なった部分を一点止めします。
綺麗に広がった手ぬぐいは、花びらのようにも見えました。

そのお花の中心に、はたき用の竹の棒(はたきの先が抜けないように、引っかかりとなる釘が打ってあるもの)を置いて、手ぬぐいを被せたこ糸でしっかり止めます。
たこ糸をぐるぐる結ぶという行為も、今の日常ではあまり機会がないかもしれません。

それをまた逆さまにして、もう一度たこ糸できつく縛れば、はたきの出来上がり。
最後に、棒の反対側に引っ掛けるための糸を通して、完成です。

ここまで早い方では30分もかからない程でした。
こんなに気軽にはたきが作れるなんて、と皆さん嬉しそうなお顔をされていました。
自分で道具を作ってみると、早速使ってみたくなる、それはすなわちお掃除したくなるのですね。

お部屋用に使って、お外用に使って、そのあとはまた手ぬぐいを付け替えれば、ずっと使い続けることができます。

最後に、はたきをかけるときのポイントも教えてくださいました。

上から下にはたくこと。

埃が上から下へと落ちるからです。

ご参加者の皆さんが教え合ったり、きぬ子先生の被られていた「あねさん被り」の作り方(こちらも手ぬぐいで作ることができます)を質問されたりと、長谷川町子記念館らしい終始和やかな時間でした。
きぬ子さんは購買部の手ぬぐいを使って、ワークショップの合間に吾妻袋も作ってくださいました。

このような暮らしの知恵のような家庭内での手仕事は、伝統工芸のように伝承される機会もほとんどありません。
松野屋の皆さんが、荒物と一緒にこのような暮らしのことを自分たちが伝え手となって、少しでも残していけたらとお話しされていたのが印象的でした。